2018年05月01日【第117回】「メンバー」ってなんだ?

 アイドルグループ「TOKIO」の一員、山口達也が女子高生に対する強制わいせつ容疑で書類送検された。翌日からの新聞・テレビなどで「山口達也メンバー」と連呼されたことに違和感を覚えた人も多かったのではないか。「メンバー」?そこにはマスコミ側の勝手で一方的な事情が存在するようだ。

 今回の一件は事件であり、事実関係やその背景を伝えるには社会面で取り上げる内容だ。そうなると加害者・犯人の言い表し方は、逮捕されれば「容疑者」で統一する。その後、起訴されれば「被告」になるし、実刑で服役したら「受刑者」と変化していく。ところが山口達也は書類送検であって逮捕はされていない。さて、どう呼べばいいのか――逮捕されておらず起訴されるかどうかも不透明な段階で「容疑者」と言うのもはばかられ、さりとて「さん」では不自然な印象をもつ。

 近年、できるだけ呼び捨てにしないようにしてきたマスコミは苦し紛れの肩書呼称を多用してきた。「元社長」や「前理事長」、「弁護士」などがそれにあたる。そこで山口達也にあてはめたのが「メンバー」という肩書。どうやらこれは2001年、道交法違反と公務執行妨害の容疑で逮捕されたSMAPのメンバー稲垣吾郎の事件報道で初めて使われた、という。

 それにしても不自然な呼称だ。「TOKIOメンバーの山口達也」なら分かりやすいはずなのに、報道各社は一様に「山口達也メンバー」。新聞もテレビもより分かりやすく伝える――を標榜しているはずなのに、「メンバー」などという肩書で読者(視聴者)は一気に違和感を抱いてしまっただろう。

 会見翌日の報道で「山口達也容疑者」と報じたのは読売新聞一紙のみ。あとは仲良く「メンバー」で各社が並んだ。横一線の気色悪い不気味さが充満している。マスコミが一個人を断罪することなど決して許されるものではないが、山口達也は多くの日本人が知っている有名人であり、その意味では公人に近い。本人が会見を開いて自分が犯した罪を認めてもいる。であれば、事件の影響度を考えて「TOKIOの山口達也」でも良かったのではないか。

 メンバーの呼称使用について説明したメディアもほとんど見受けられなかった。自分たちに都合よく報道し、いずれ事件は忘れ去られる。マスコミは、報道する側の責任をどう捉えているのだろうか。