2018年05月21日【第120回】日大の危機管理能力

 それにしてもこれはなんなのだろうか。

 日大アメフト部による「悪質タックル問題」のことだ。問題が起きた試合は関西学院大学との定期戦で5月6日。当日から話題になり、数日後にはインターネットの映像配信サイトYoutubuに問題のシーンがアップされ、一気に表面化した。

 日大はアメフト部のサイトにお詫びコメントを掲載したものの、被害者である関学大は10日には日大に抗議文を送り、14日にはスポーツ庁の鈴木長官までもが「こんなことは容認できない」と異例のコメントを会見で明らかにした。一度上がった火の手は消えることなく、どんどん火勢を強めているのが現状だ。

 この間、当事者(加害者)の日大は一度、正式なコメントを発表し、19日には日大アメフト部の内田監督が関西学院大、負傷した選手らに直接謝罪し、その直後、会見をおこない重ねて謝罪の意を表明した。

ところがこの期に及んでもいまだに事の経緯を明確にしていない。「関西学院大への文書で明らかにする」と述べただけで、なんら問題の核となる部分については説明していない。ここに至るまですでに丸2週間の時間が流れている。

 そもそも日大側の危機管理体制が皆無なのか、あるいは表立って謝罪も説明もできない事情があるのかそれは分からない。しかし、起こしたことに対するその対応は、すべての基本に「迅速な行動」があることはだれでも知っているはずだ。それすらも分からなかった、ということなのだろうか。

 あまりにお粗末でひど過ぎる内容なだけに、ここで話題にすることさえ二の足を踏む。19日の会見で内田監督みずからが「辞任する」と明らかにしたが、もはやそんなことはどうでもよくなっていて、だからあの危険で悪質なタックルは、いったいどういった経緯でおこなわれたか――に焦点は絞られている。

 日大といえば学生総数が6万7000人(2016年7月、旺文社調査)を超える日本一の規模を誇るマンモス大学である。在席総数の多さゆえか、これまでも個性的でユニークな人材を輩出する大学としても名を馳せてきた。

 そういった過去の評価を一発で消し去る「2週間」であることも忘れてはなるまい。日大アメフト部のチーム名が「フェニックス(不死鳥)」、2年前に新設した学部が「危機管理学部」。オチのついた笑い話だけではまったく済まされない局面にいることを、当事者はもっともっと理解すべきであろう。