2018年06月12日【第123回】加熱式たばこは時代のアダ花か

 「加熱式たばこ」の大手メーカーによる販売シェア争いが第2段階に入った。煙が出ないたばことして2010年に日本たばこ産業(JT)が発売した商品がその始まりともいわれるが、2015年、フィリップモリス(PM)の開発したiQOS(アイコス)がヒットして知名度がアップした。大手各社の製品が出そろい、価格ダウンにも動いていることから販売増につながるともみられるものの、まだまだクリアすべきハードルはある。

 そのひとつが健康への影響を明確に示せないこと。各社は独自に非喫煙者の副流煙による健康被害や喫煙者の健康被害が紙巻きたばこに比較して少ないといったデータを公開しているが、公的機関など第三者による安全を示すデータはないとみられる。現時点では(紙巻きたばこに比べて)煙と臭いが出ない・少ないだけで注目を集めている。もう一点は熱を加えるためのバッテリーが必要で、こまめに充電しなければ使えなくなる。バッテリーには寿命もあることから、一度、本体を購入しても数年ごとに買い直す必要に迫られる。スペックの進歩を待たねばならないこともあって、簡単には解決しない。喫味も各社様々だが、紙巻きたばこに比べ「薄い」「すぐに味がなくなる」「化学調味料の味がする」などの意見もありまだまだ発展途上といったところだろうか。

 日本国内の喫煙率は19.8%(2016年、厚労省調べ)。2004年に比べて8・7ポイントもダウンしている。加熱式たばこがどれほど売れようとも、新規に喫煙者を増やすものではなく、いわば先細りの市場をできるだけ維持したい、といったメーカーの思惑があるだけだ。加えて強い逆風が吹きっ放しのたばこ市場の風向きを、なんとか変えたいという考えもあるのかもしれない。

 抜本的、根本的な施策とは言い難いのが現状だろうか。たばこはには綿々と継がれてきた歴史の中でたびたび悪者とされてきた。だが、喫煙者にとっては現代が歴史上最も悪とされている時代なのかもしれない。改善の余地がまだまだ残っている加熱式たばこだが、一瞬のアダ花で終わらないよう「たばこへの制裁」がまたぞろ出てくる前に、生き残りをかけて各社は開発の歩を早めるべきだろう。